七日間ブックカバーチャレンジ

緊急事態宣言発出により外出自粛の中、7日間ブックカバーチャレンジという、本の紹介企画に参加した。

私は駅伝にたとえながら、ゆっくりと本に向き合い、立ち止まったり、歩いたり、応援があったり、シンプルに道中を楽しんだ。

●初日/一冊目

「あなた らしいと ほめられ けなされる」 柴田睦郎著

著者である柴田先生は、北海道医療大学の医師であり、第一線の川柳作家でもある。本著を読むたびに一本取られる句は、「再読のたびに良書は新しい」今回もそうであった。また2018年に西表島へ向かった時、本著を旅の友として写真におさめたことは記憶に新しい。

●二日目/二冊目

「江戸の定年後」 中江克巳著

20年前、40歳になった頃、江戸時代の隠居は40歳代であったことを「江戸の定年後」との出会いで知った。寿命が短かった時代ということもあるが、一番は家業、家督を早く次の世代へ渡して、新しい愉しみに挑戦する、いわば隠居=パラダイムシフトだったようである。

さすがに40-50歳の頃はできなかったが、発想を変えて、ここ数年取り組んでいる新たな挑戦へのヒントになった一冊である。

●三日目/三冊目

「辺境コミュニティの維持」 本村真編著

あちこちのヘルスコミュニティを研究してきたが、「辺境コミュニティの維持」を読み"ワクワク"した。9名の研究者の論文編であるが、読みやすく、その地を歩き、人に出会い、一緒に考えているような気持ちになった。

●中日/四冊目

「塩の道」 宮本常一

子供の頃、寺住職の祖父を訪ねて取材に来られた研究者の方がいた。「村のなりたち」「町のなりたち」という本を置いていかれた。内容はわからなかったのだが、なりたち"というひらがなの意味を祖父に教えてもらっら記憶がある。社会人になってその方の本に再会した。民俗学者宮本常一氏であった。

●五日目/五冊目

「宮大工 千年の手と技」 松浦昭次著

尾道の寺の建替時に、棟梁で来られたのが宮大工の松浦昭次さんだった。よく現場事務所で"指矩(さしがね)"で遊ばせてもらった。

縁は大人なっても続き、2006年には、古民家再生シンポジウムでご一緒させていただいたこともある。近年は藤枝のご自宅をたびたび訪ね、学びが続いている。

●六日目/六冊目

「進化する自転車まちづくり」 古倉宗治著

昨年から自分が住んでいるまちの環境活動を始めている。これまで各地で地域に向き合う仕事をしてきたが、分野が違えば知らないことばかり。学習会で子供たちの博学にびっくり。とはいえ、人が真ん中であることには変わりはなく、ゆっくり学びながらつながりを楽しんでいる。そして、活動拠点(川崎市地球温暖化防止活動推進センター)で、たまたま目に止まった本が「進化する自転車まちづくり」である。

●千秋楽/七冊目

「豊かな人生〜悟って生きる」 武者小路実篤

父親が揃えていた「武者小路実篤文学全集」が最初の出会いだった。「じっとくさんよ(笑)」という変な紹介がきっかけとなり、中学以来ずーっとファンで、珠玉の言葉に励まされてきた。

とりわけ【この道より 我を生かす道なし この道を歩く】 には勇気をもらい続けている。 

本著の中の「生き抜く事」と「より良く生きる」にある言葉も、活動の礎になっている。

●声援特別編

また、尾道の母親から本の"声援"が届いた。

「花ひらく 心ひらく 道ひらく」 坂村真民

坂村真民さんの言葉を思い出しました。「あとから来る者のために」もう一度本を読み直します。一人で思いますのに、コロナには、こころがあるのではないかと❓心が、負けないように⁉️戦争中の時の精神状態に、似ているよう?今は食べ物があるから、その心配はないので幸せです。」

昨年の夏、坂村真民記念館へ一緒に行った時、購入した一冊だった。

コロナ禍の出口の見えない状況下で、いかに考え、行動するか、七日間、本の選別と襷を受け取ってもらえる方への声かけは、いろいろな意味でよい時間となった。

さて、この先どんな本との出会いがあるのだろうか。偶有性を愉しみたい。